恐怖のしゅうまい

投稿者: itogen
7月 09 2011 年

最近大学の時の友達と会ったので、お世話になった先生のことをよく思い出すようになりました。

今日はその先生から伺った怖い話をしようと思います。心臓が悪い方は注意して下さい。

 

お父さんと男の子が中華街を歩いていました。

男の子はお腹が減ったようで、何度もお父さんにせがみます。

「お父さん!しゅうまいが食べたい!しゅうまいが食べたいよ!!」

お父さんは、男の子が何度もせがむので、1パック買ってあげることにしました。

しばらく歩くと、男の子は我慢ができなくなりました。

「お父さん!しゅうまいが食べたい!しゅうまいが食べたいよ!!」

男の子は何度も何度もお父さんにせがみます。

「しょうがないな。見るだけだぞ」

パカッ…しゅうまいが6つ入っています。男の子は存分に匂いを嗅ぎました。

再び二人は歩きだしました。しかししばらくするとまた男の子は我慢できなくなりました。

「お父さん!しゅうまいが食べたい!しゅうまいが食べたいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

パカッ…男の子はふたを開けてしゅうまいを見つめます。

「1、2、3、4、5、6」男の子はしゅうまいを一つ一つ確認しました。

「いい匂いだねお父さん!」男の子は満足げに微笑みました。

再び二人は歩きだしました。 しかしまたしばらくすると、男の子は我慢できなくなりました。

「お父さん!しゅうまいが食べたい!しゅうまいが食べたいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

パカッ…男の子はふたを開けてしゅうまいを見つめます。1、2、3、4、5・・・1つない!!

男の子は目をこすりながらふたを閉じ、深呼吸してから、もう一度ふたを開けてみました。

・・・全部ない!!!!

ふたにくっついてた。

 

しゅうまいを食べてのどが渇いた男の子はお父さんにせがみます。

「お父さん!コーラが飲みたい!コーラが飲みたいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

男の子はコーラを買ってもらえてご機嫌でしたが、しばらくすると我慢できなくなりました。

「お父さん!コーラが飲みたい!コーラが飲みたいよ!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

プシュッ…お父さんはプルトップを引っ張り開けてあげました。・・・コーラがない!!!!

ふたにくっついてた。

 

さらに歩いていくと、ヤマハ音楽教室が見えてきました。

「お父さん!ピアノが欲しい!ピアノが欲しいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

二人は中に入り、先生に頼んでピアノを見せてもらうことにしました。

見ているうちにどうしても弾いてみたくなった男の子はお父さんにせがみます。

「お父さん!ピアノが弾きたい!ピアノが弾きたいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

カパッ…お父さんはピアノのふたを開けました。 ・・・鍵盤がない!!!!

ふたにくっついてた。

 

さらに2人が歩いていくと、新築マンションが見えてきました。

男の子が目を輝かせて言います。

「お父さん!マンションに住みたい!マンションに住みたいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

二人は不動産屋に頼み、中を見せてもらうことにしました。

「お部屋の中はこのような感じになっております」

ガチャッ…不動産屋がドアを開けました。 ・・・部屋がない!!!!

ドアにくっついてた。

 

二人がマンションを出ると、雨が降りはじめていました。

「お父さん!梅雨明けが見たい!梅雨明けが見たいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

お父さんは沖縄行きの航空チケットを取りました。

機内で男の子は大はしゃぎです。

「お父さん!早く梅雨明けが見たい!梅雨明けが見たいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

飛行機が那覇空港に到着しました。

二人はタラップを下り、駐機地域に降りてみました。・・・沖縄がない!!!!

タラップにくっついてた。

 

暗い夜。家族はみんな寝ています。

怖くなった男の子はお父さんを揺すり起こしてせがみます。

「お父さん!夜明けが見たい!夜明けが見たいよ!」

「…しょうがないな。見るだけだぞ」

6月24日の日の出時刻は04:26。二人はそれまでじっと浜辺で待つことにしました。

いよいよ日の出時刻が近づいてきました。04:24・・・04:25・・・

さあ、04:26です。男の子は水平線に目を凝らしました。・・・朝がない!!!!

夜にくっついてた。

 

ベートーヴェンの第九を聞いているうちに高まってきた男の子がせがみます。

「お父さん!新年を迎えたい!新年を迎えたいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

二人は12月31日までじっと待つことにしました。

いよいよ12月31日。二人は固唾(かたず)を呑んでテレビ画面を見つめます。23:58・・・23:59・・・

さあ、0時になりました。二人は外 に出て周りを見渡してみました。・・・新年がない!!!!

去年にくっついてた。

 

無理をしすぎたのか、お父さんは体から疲れが抜けなくなってきました。

「お父さん!入院患者が見たい!入院患者が見たいよ!!」

「しょうがないな。見るだけだぞ」

お父さんは入院することにしました。

お母さんが病室で促します。「さあひろゆきちゃん、お父さんにお見舞いの言葉を言いなさい?」

「うん。…お父さん、わがままばかり言ってごめんね?」

男の子は謝罪の言葉を口にしながら毛布をめくりました。 ・・・お父さんがいない!!!!

毛布にくっついてた。

 

 

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