忘却曲線というものをご存じでしょうか。
ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウス(1850-1909)が、
記憶の再生率を調べて導いた曲線です。
人が記憶したものを時間の経過と共に忘れていくその過程が曲線によって表現されています。
実験結果:
20分後には、42%を忘却し、58%を覚えていた。
1時間後には、56%を忘却し、44%を覚えていた。
1日後には、74%を忘却し、26%を覚えていた。
1週間後には、77%を忘却し、23%を覚えていた。
1ヶ月後には、79%を忘却し、21%を覚えていた。
グラフにすると、以下の図のようになります。
完璧に覚えたつもりでも、1日後には約4分の3を忘れてしまっています。これでは大変です。
しかし、反復・復習によって記憶を強化する(もう一度覚えなおす)と、
その都度忘却曲線のカーブは緩やかになり、以下の図のようになります。
反復・復習がいかに大切かがわかりますね。
さらに一つ注意したいことがあります。
それは、このエビングハウスの忘却曲線は、pek, tasなどの無意味な単語の羅列を記憶し、
その再生率を調べて導かれたものだということです。
実際に勉強を進めていく時に出てくるものに、完全に意味のないものはありませんから、
暗記する内容に「意味」を付加することで、忘却曲線をさらに緩やかなものにすることができます。
「意味」の付け加え方は様々です。たとえば、subway「地下鉄」。
意味を付加せず、単にs→u→b→w→a→yという単語の羅列として暗記すれば、
忘却曲線通りにすぐに忘れてしまうでしょう。
しかし、sub「下」+way「道」であることを意識すれば、
記憶しやすく忘れにくいものになります。
submarine「潜水艦」(sub「下」+marine「海」)なども同様です。
他にもあります。
たとえば、視覚だけでなく、他の感覚も使って「意味づけ」してみたらどうでしょう。
optimistic「楽天的な」という単語を、「オプティミスティック」と、
一番強く発音される「ミ」のところでスキップしたり片手を突き上げたりしながら、
楽しそうに発声したらどうでしょう。
何となく楽天的なイメージがつくことにより、忘れにくいものになると思います。
単に視覚に頼るだけでなく、このように他の感覚も使って記憶することで、
記憶する内容を忘れにくいものにすることができるのです。
また、触覚・味覚・嗅覚などによる記憶は、視覚による記憶よりも強く脳に残るそうです。
視覚・聴覚などの間接的感覚(対象に当たった波(光、音)を捉える感覚)より
触覚などの直接的・原始的感覚の方が、
進化の過程では早くに獲得されると言われているようですから、
あながち間違いでもなさそうです。
見るだけでなく実際に書いてみる方が記憶に残りやすいとよく言われますが、
これも実際に手でシャープペンシルや鉛筆を「触」って書いているからかもしれません。
やり方・覚え方を工夫することで、学習を効率よく進めることができるようになります。
頑張ってください。
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